4outのオーディオインターフェイスを選ぶなら、まず「どこへ、どの音を送りたいか」を決めましょう。4系統のライン出力がある機種では、1・2と3・4を別の出力ペアとして使えます。ただし、ヘッドホンで聴ける音や、本体のつまみで調整できる出力は機種によって異なります。
選択の目安は、TRSとRCAの接続先を使い分けたいならMOTU M4、2人分のヘッドホンを直接つなぎたいならSSL 2+ MKII、ライン出力とは独立したヘッドホン用ミックスを作りたいならScarlett 4i4 第4世代です。
ここでは音質の順位ではなく、家庭の制作環境で差が出る接続と操作を中心に見ていきます。
- 4outの数え方とステレオ出力の関係
- スピーカー・演奏者用ミックスの送り分け
- 3機種のヘッドホン出力と操作の違い
- 購入前に決めたい接続先と設定条件
4outのオーディオインターフェイスでできること
4outはステレオ4組ではなく、出力チャンネルの数

この記事で比較する3機種は、いずれも4系統のアナログライン出力を備えています。左右を組にして使う場合は、出力1・2でステレオ1組、出力3・4でもう1組という構成です。「4outだからステレオの機器を4組つなげる」という意味ではありません。
M4の説明書でも、背面の1・2と3・4はそれぞれ独立した出力ペアとして扱われています。
2outとの違いは、追加の出力先へ別の信号を送る余地です。たとえばSSL 2 MKIIとSSL 2+ MKIIでは、どちらも入力は2チャンネルですが、後者には出力3・4が追加されています。
入力の多さと出力の多さは別の仕様なので、録音する楽器を増やしたいのか、音を送る先を増やしたいのかを分けて考える必要があります。
また、製品名や「4out」の表記だけで、コンピューターから見える全チャンネルを判断しないことも大切です。Scarlett 4i4 第4世代の説明書では、ライン出力1〜4に加えて、ヘッドホンの左・右が出力5・6として掲載されています。購入時には、ライン出力数とヘッドホンの割り当てを別々に見ましょう。
スピーカー2組に使うなら、音量調整の範囲まで見る
スピーカー2組への接続を考えるなら、出力1・2を1組目、3・4を2組目へ割り当てる構成が候補になります。M4は各出力ペアをホストソフトウェアから別々に扱えます。
Scarlett 4i4 第4世代も、出力3・4へ送る信号をFocusrite Control 2で設定でき、追加のスピーカーや外部プロセッサーへの送信に使えます。
ここで確認したいのが、前面の大きな音量つまみです。SSL 2+ MKIIのMONITORノブは出力1・2に作用し、3・4には作用しません。Scarlett 4i4 第4世代のOutputノブも、調整対象は出力1・2です。
4本の出力端子があることから、「つないだスピーカー全部の音量を、このつまみでまとめて変えられる」とは判断できません。
したがって、2組を聴き比べることが目的なら、接続できるかに加えて、どちらへ音を送り、どこで音量を変えるかまで決めておくとよいでしょう。SSL 2+ MKIIでは背面出力3・4のレベルをDAW側で扱います。ライン出力の追加と、手元で行うスピーカー切り替え・音量調整は、分けて検討するポイントです。
演奏者用ミックスや同期音源は、送る音を分けて設定する

録音する人と聴きながら調整する人で、欲しい音のバランスが違うことがあります。Scarlett 4i4 第4世代の説明書では、Mix Aをスピーカー用、Mix Bを歌い手のヘッドホン用にする例が紹介されています。歌い手が自分の声を大きく聴きたい場合は、Mix Bのボーカルだけを上げる設定です。
全体の音量を変えるのではなく、聴く人に合わせて音の配分を変えられます。
同期演奏を想定する場合も、考え方は送信先ごとの分離です。たとえば「出力1・2へ客席用のステレオ伴奏、出力3・4へ演奏者用のクリックを含むミックス」という割り当てが考えられます。これは独立した出力を使う構成例であり、つなぐだけで自動的に分かれるわけではありません。

DAW側で別の再生出力へ送り、機種側でも目的の出力へ届く設定が必要です。
演奏者がヘッドホンで聴くなら、最後の接続先も重要です。SSL 2+ MKIIはヘッドホンBでDAW出力3・4を選べます。また、同機の背面出力3・4は、外部ヘッドホンミキサーやアンプへの供給にも使えると説明されています。必要なのは背面の4出力なのか、本体のヘッドホン端子で別ミックスを聴けることなのか。
ここを先に決めると、候補の違いがはっきりします。
端子の数と、独立して送れる音の数は同じではない
背面写真を見るときは、端子を足し算する前に、同じ信号を出す端子がないかを見ましょう。M4にはTRS出力4本とRCA出力4本がありますが、RCAは対応するTRS出力の信号を複製するミラー出力です。8種類の音を独立して送れる8outとしては扱えません。端子形式を選べる利点と、独立した出力数は別です。
ヘッドホンも、「音量だけ別」と「音の内容も別」を区別します。M4のヘッドホンは、背面MONITOR出力と同じ信号を聴き、ヘッドホン側の音量を独立して調整する仕様です。
一方、SSL 2+ MKIIはヘッドホンBのソースを1・2または3・4から選択でき、Scarlett 4i4 第4世代はライン出力の両ペアから独立したヘッドホン用ミックスを作れます。
なお、ヘッドホン端子が2つあっても、必ず別ミックスになるとは限りません。比較例として、SSL 2 MKIIの2つのヘッドホン出力は同じ音源・同じレベルです。2人で同じ音を聴きたいのか、音量を別にしたいのか、伴奏や声のバランスまで変えたいのか。この3つを区別して仕様を見るのがおすすめです。
4outのオーディオインターフェイス3機種の比較と選び方
比較するのはMOTU M4、Solid State LogicのSSL 2+ MKII、FocusriteのScarlett 4i4 第4世代です。SSLは「+」付きのMKII、Scarlettは第4世代を対象にしています。名前の近いモデルを混ぜず、出力の使い道に関わる仕様を並べます。
| 比較項目 | MOTU M4 | SSL 2+ MKII | Scarlett 4i4 第4世代 |
|---|---|---|---|
| アナログ入力 | マイク/ライン/ギター対応2系統+ライン2系統 | マイク/ライン/楽器対応2チャンネル | マイク/ライン/楽器対応2系統+ライン2系統 |
| ライン出力 | バランスTRS×4、同じ信号のRCA×4 | バランスTRS×4 | バランスTRS×4 |
| ヘッドホン端子 | 1つ | 2つ、音量は個別 | 1つ |
| ヘッドホンへ送る音 | MONITOR出力と同じ信号 | Bは1・2または3・4を選択 | ライン出力とは独立したミックス |
| 主な選択理由 | TRSとRCAの接続先に対応 | 2人分のヘッドホン接続 | 専用ソフトで送信先ごとにミックスを作成 |
MOTU M4はTRSとRCAの接続先を使い分けたい人に
MOTU M4は、4入力・4出力のUSB-Cオーディオインターフェイスです。前面の2系統に加えて背面にもライン入力があり、マイクやギターと、キーボードなどのライン機器を扱う構成に向いています。出力はTRSとRCAを備えるため、接続先の端子形式に合わせて選べるのが特徴です。
本体中央のINPUT MONITOR MIXノブでは、直接モニターする入力音と、コンピューターからの再生音のバランスを変えられます。また、カラーLCDで入出力のレベルを確認できます。録音中に入力と伴奏の聴こえ方を手元で調整したい場合に、注目したい操作部です。
選ぶ前に押さえたいのは、ヘッドホンがMONITOR出力と同じ信号になる点です。ヘッドホンの音量ノブが独立していても、それだけで別のクリック用ミックスを選べるわけではありません。前面の「3-4」ボタンも、背面入力3・4のダイレクトモニタリングを有効にするものです。
出力3・4をヘッドホンへ切り替えるボタンと取り違えないようにしましょう。
SSL 2+ MKIIは2人分のヘッドホンを直接つなぎたい人に


Solid State LogicのSSL 2+ MKIIは、2入力・4出力に、個別の音量調整ができるヘッドホン端子A・Bを備えています。録音する人と操作する人が、それぞれヘッドホンをつなぐ用途の候補です。4系統のライン出力は、すべてバランスTRSになっています。
B側は「3&4」ボタンを選択しないとAと同じミックスを受け取り、選択するとDAW出力3・4を使えます。別ミックスが欲しい場合は、DAWのAUXセンドを出力3・4へ送る設定を行います。2本のヘッドホンを挿したあと、本体のボタンだけで歌声と伴奏の配分まで自動的に変わるわけではありません。
日本語説明書では、3&4ボタンをLEDが点滅するまで長押しすると、B側でもMIXノブによりアナログ入力1・2とDAW出力3・4を混ぜられると案内されています。このとき背面出力3・4も同じモードに変わり、その出力レベルはDAW側で扱います。
Bの聴こえ方だけを変更するつもりでも、背面3・4を同時使用している場合は影響する範囲を把握しておきたいところです。
入力は2チャンネルです。前面に楽器用端子がありますが、接続すると対応チャンネルのマイク/ライン入力より優先されるため、端子を合計して4入力とは数えません。また、日本向け公式案内ではSSL 2+ MKIIについて使用前のファームウェア更新を推奨しています。
Windowsの場合は、その前に最新のUSBオーディオドライバーをインストールする案内です。
Scarlett 4i4 第4世代は出力先ごとにミックスを組みたい人に
FocusriteのScarlett 4i4 第4世代は、4系統のライン出力を使いながら、ヘッドホンにも独自のミックスを送りたい場合に向いています。ヘッドホン端子自体は1つですが、その信号はライン出力1・2、3・4から独立しています。端子数より、送り分けの自由度を重視する人向けの選択です。
設定にはFocusrite Control 2を使います。Mixerページで本体入力やソフトウェア再生音を組み合わせ、Routingページで出力先を指定する仕組みです。スピーカーには全体のバランスを確認するミックス、ヘッドホンには歌声を強めたミックスという使い分けができます。
ミキサーのフェーダーは送信先のレベルを変えるもので、録音されるソースの信号レベルには影響しません。
各出力へ割り当てられるミックスは一度に1つです。同じ出力へ新しいミックスを割り当てると、以前の割り当ては置き換わります。一方、ステレオの出力ペアを2つのモノラル出力に分け、それぞれへ別のソースを送る設定も可能です。ステレオ2組として使うだけでなく、モノラルの外部機器へ個別に送る用途も検討できます。
接続するパソコンの給電条件も見ておきましょう。第4世代4i4には補助給電用の5V DCポートがあり、コンピューターが必要な1.5AのUSB-C電源を供給できない場合に使用します。USB給電不足で切断や赤いUSB表示の点滅が起きる場合は、付属電源アダプターを使う案内です。
公式ダウンロードページから日本語ユーザーガイドを参照できます。
購入前に出力先を決め、DAWと本体の設定を合わせる


私なら、候補を絞る前に「1・2はスピーカー、3・4は外部機器、ヘッドホンには何を送るか」を書き出します。同じ音を別端子から出すだけで足りるのか、違う音を同時に出す必要があるのかで、選ぶ理由が変わるためです。



M4のミラー出力、SSL 2+ MKIIのB側切り替え、Scarlett 4i4 第4世代の独立したヘッドホン出力を、この接続予定に当てはめてみてください。
- 使用する音声機器をDAWで選ぶ。 SSL 2+ MKIIのPro Tools設定例では、Playback Engineで本機を選びます。WindowsではSSL 2+ MKII ASIOを指定する案内です。
- 別にしたい音を別の出力へ送る。 SSL 2+ MKIIでB側に別ミックスを聴かせる場合は、DAWのAUXセンドを出力3・4へ割り当てます。
- 機種側の送信先を合わせる。 SSLはB側の3&4ボタン、Scarlett 4i4 第4世代はFocusrite Control 2のRouting設定が判断箇所です。
- 音量を変える場所を把握する。 SSLのMONITORノブ、ScarlettのOutputノブは出力1・2用です。3・4も同じように変わるとは考えず、使用する出力に対応した設定を見ます。
最後に入力側も照らし合わせます。2人分のヘッドホンが必要でも、同時に録りたいライン機器が多ければ、2入力のSSL 2+ MKIIでは入力チャンネルが足りない構成もあります。反対に、4入力が必要な人でも、M4とScarlett 4i4 第4世代ではヘッドホンへの送り方が異なります。
「4out」という条件を満たした先で、録音する音源と聴く人の両方に合う1台を選びましょう。
4outのオーディオインターフェイス選びのまとめ
この記事のまとめです。
- 4系統のライン出力は、左右を組にするとステレオ2組として使える
- 入力数と出力数は別の仕様なので、録音する機器と音を送る先を分けて考える
- スピーカー2組への接続では、出力3・4の音量をどこで調整するかも重要
- 同期音源や別ミックスは、DAWと機種側で送信先を分ける設定が必要
- M4のRCAはTRSのミラー出力であり、独立した8outにはならない
- M4のヘッドホンはMONITOR出力と同じ信号で、音量は独立して調整できる
- SSL 2+ MKIIはヘッドホン2つを直接接続でき、B側でDAW出力3・4を選べる
- SSL 2+ MKIIの3&4長押しモードは、ヘッドホンBだけでなく背面3・4にも影響する
- Scarlett 4i4 第4世代は、ライン出力から独立したヘッドホン用ミックスを作れる
- Scarlett 4i4 第4世代はUSB給電条件を確認し、必要に応じて付属電源アダプターを使う












