お気に入りの有線イヤホンを、スマートフォンにつなぐケーブルから解放したい。そんなときは、Bluetoothレシーバーにイヤホンを接続する方法が候補になります。対応する着脱式イヤホンなら、ケーブルの代わりに完全ワイヤレスアダプターを取り付ける方法もあります。
最初に決めたいのは、「スマホとケーブルでつながらなければよい」のか、「イヤホンから伸びるケーブルもなくしたい」のか。前者はレシーバー型、後者は手持ちのイヤホンに対応するアダプター型から探します。端子と残したい機能を確かめながら、無線化の方法を選んでいきましょう。
- ケーブルを残すレシーバー型と完全ワイヤレス化の違い
- 3.5mm・4.4mm・USB端子の接続条件
- 音質・遅延・マイク・充電の選択基準
- BTR13とRMCE-TW2の用途別の選び方
有線イヤホンを無線化する方法と接続の進め方
ケーブルを残して使うならBluetoothレシーバー

レシーバー型では、スマートフォンからBluetoothで音を受け取り、レシーバーに差した有線イヤホンで聴きます。接続の流れは、スマートフォン→Bluetooth→レシーバー→イヤホンのケーブル→耳。無線になるのはスマートフォンとレシーバーの間で、イヤホンのケーブル自体は残ります。
たとえばFIIOのBTR13は、Bluetoothレシーバーとして動作し、3.5mmと4.4mmのヘッドホン出力を備える機器です。本体には携帯用のクリップもあります。
イヤホンのプラグを対応する出力につなぎ、本体を持ち歩く構成なので、ケーブルを使い続けながらスマートフォンとの接続だけを無線にしたい人に合う方式です。
購入時は「Bluetoothアダプター」という名称だけで決めず、受信に対応するかを見ます。送信機は、テレビなどの音をBluetoothヘッドセットへ送る側の機器。有線イヤホンでスマートフォンの音を受ける用途では、受信側の機能が必要です。
送受信を切り替えられる製品でも、使うモードを取り違えないようにしましょう。
3.5mm・4.4mm・USB端子は接続先を分けて考える
レシーバーを選ぶときは、スマートフォン側より先に、イヤホンのプラグとレシーバーの「ヘッドホン出力」を照合します。BTR13の場合、出力は3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの2種類。同じ有線イヤホンでも、どちらのプラグを使っているかで接続先が変わります。
| 手持ちのイヤホン・目的 | 見るべき接続条件 | BTR13での位置付け |
|---|---|---|
| 3.5mmプラグのイヤホン | 3.5mmヘッドホン出力 | 対応する出力を搭載 |
| 4.4mmバランス接続のイヤホン | 4.4mmバランス出力 | 対応する出力を搭載 |
| USB Type-Cプラグのイヤホン | USBイヤホンへの音声出力対応 | 製品仕様に対応の明記なし |
| PCやスマートフォンをUSBでつなぐ | USB DACとしての入力・動作モード | PCモードとPhoneモードを用意 |
ここで間違えやすいのがUSB端子です。BTR13にUSB接続の機能があることと、USBイヤホンを挿して使えることは別の話。公式案内では、PCやスマートフォンと接続するUSB DAC機能、BTモードでのUSB充電、そして3.5mm・4.4mmのヘッドホン出力が示されています。
USB Type-Cイヤホン用の無線化機器としては案内されていません。
USB Type-CやLightningのイヤホンを持っている場合は、「USB端子付き」という説明だけでレシーバーを購入せず、そのイヤホンへの音声出力を明記した製品かどうかが判断の分かれ目です。ここで紹介するBTR13の接続方法は、3.5mmまたは4.4mm出力につなぐイヤホンを対象としています。
ケーブルも外したいなら対応イヤホン用アダプター

イヤホンから伸びるケーブルもなくしたい場合は、着脱式イヤホン向けの完全ワイヤレスアダプターを検討します。具体例は、Shureの「True Wireless Secure Fit Adapter Gen 2」、型番RMCE-TW2。
着脱式Shure高遮音性イヤホンを完全ワイヤレス化する製品で、左右のアダプターをペアで販売しています。
レシーバー型との大きな違いは、購入時に見る適合条件です。レシーバーではイヤホンの先端プラグと出力端子を照合しますが、RMCE-TW2ではイヤホン本体がメーカーの対応対象に入るかを見ます。公式の対応案内は「あらゆる着脱式Shure高遮音性イヤホン」。
この説明を、他社の着脱式イヤホン全般への対応と読み替えることはできません。
RMCE-TW2のイヤホンは別売です。同梱されるのはアダプターセット、充電ケース、USB-C充電ケーブルで、イヤホン本体まで含むセットではありません。すでに対応イヤホンを持っていて、ケーブルを外して使いたい人向けの候補と考えると、購入内容を取り違えずに済みます。
接続はイヤホンをつなぎ、レシーバーをペアリングする
レシーバー型の準備は、イヤホンを出力端子につなぐことと、スマートフォンとのBluetooth接続の2つです。操作するボタンや表示は製品ごとに違います。ここではBTR13の公式案内に沿って、無線で使うときの流れを示します。
- イヤホンのプラグに合う、BTR13の3.5mmまたは4.4mm出力へ接続します。
- 動作モードをBluetoothレシーバー用の「BT」にします。
- 初回は電源を入れると自動でペアリングモードに入り、画面に「PAIRING」と表示されます。
- スマートフォンのBluetooth設定からBTR13との接続を行います。
BTR13は、一度電源を切って再び入れると、最後に接続した機器へ自動で再接続します。再接続できない場合はペアリングモードへ移ります。すでに機器が接続されている状態から強制的にペアリングモードへ入れる操作は、メニュー画面以外でマルチファンクションボタンを約5秒間長押しする方法です。
接続できなくなったときは、FIIOの接続トラブル案内に、スマートフォン側のBTR13の登録を削除して再接続する方法が示されています。本体側の登録を消す場合は、電源が入った状態で音量の+と-を同時に約5秒間長押しします。

これはBTR13の手順なので、別のレシーバーに同じボタン操作を当てはめないでください。
有線イヤホンの無線化で確かめたい音質・機能と購入候補
音質と遅延はスマートフォンとの組み合わせで選ぶ
お気に入りのイヤホンを使い続けられても、無線化後の音を「有線接続のままと同じ」とは決めつけないほうがよいでしょう。Bluetoothでは、音声データを圧縮・変換してやり取りする「コーデック」が使われ、方式によって音質や遅延に違いがあります。
重要なのは、使いたいコーデックに送信側と受信側の両方が対応していること。レシーバーにLDACやaptX系の表記があっても、接続するスマートフォンがその方式に対応していなければ利用できません。まず手持ちのスマートフォンの対応仕様を見て、その共通範囲で候補を比べます。
動画やゲームを主に楽しむなら、音質の表記だけでなく遅延への対応も購入基準です。サンワサプライは、aptX Low Latencyを動画・ゲーム向けの低遅延コーデックとして案内しています。BTR13はaptX LLやaptX Adaptiveに対応しますが、これも相手側の対応が前提。
レシーバーだけを買えば、どのスマートフォンでも低遅延接続になるわけではありません。
送受信兼用機では、対応コーデックの条件にも注意が必要です。たとえばサンワサプライのMM-BTAD6は、aptXとaptX Adaptiveが使えるのは送信時のみで、受信時はSBCです。
「aptX Adaptive対応」という見出しだけを見て、有線イヤホンをつなぐ受信用途にも使えると判断しないことが大切です。
音切れは、コーデックの名前だけでは判断できません。ShureのRMCE-TW1・TW2向けFAQでは、Wi-FiやほかのBluetooth機器を多く使う環境で、干渉により音が途切れることがあると説明しています。
通話したいならイヤホンのマイク対応まで見る


音楽を聴けることと、手持ちのイヤホンのマイク・リモコンをそのまま使えることは、分けて確認したい項目です。レシーバー本体にマイクを搭載する製品もあれば、イヤホン側のリモコンマイクへの対応を明記する製品もあります。「通話対応」の一言だけでは、使いたいマイクまで特定できません。
BTR13は、3.5mm端子でCTIA方式のリモコン付きイヤホンに対応しています。FIIOは、この条件でイヤホンのリモコンやマイクを使用でき、再生・一時停止や音量調整などが可能と案内しています。手元のリモコンを残したいなら、イヤホンがCTIA方式かを照合するのが具体的な選び方です。
この対応を4.4mm出力や、方式不明のイヤホンまで広げて考えないようにします。
RMCE-TW2も、スマートフォンなどとペアリングして音楽再生と通話が可能です。ShureのFAQでは、TW2は音楽も通話も両側から再生する仕様とされています。一方、旧モデルのTW1は通話時に片側再生。
充電時間と連続再生時間を使う長さに合わせる
無線化すると、レシーバーやアダプターのバッテリーも使うことになります。BTR13はBTモードでは内蔵バッテリーで動作し、USBで充電できます。仕様上の連続再生時間は約8時間、充電時間は約2時間以内。使う時間帯と、充電のために置いておける時間を一緒に考えたいところです。
RMCE-TW2は、アダプターで最大8時間の連続再生に対応します。ケースから3回追加でフル充電でき、ケース分を含めると最大32時間。この「最大32時間」は、イヤホンを耳に着けたまま一度も充電せずに使える時間ではありません。
長い作業を続ける人は、ケース込みの合計より、1回の連続再生時間を先に見ましょう。
両製品は数字だけ見ると8時間ですが、BTR13は「約8時間」、RMCE-TW2は「最大8時間」という案内です。同じ条件で測った持続時間の比較とは扱わず、それぞれの目安・上限として受け止めてください。
また、ShureはTW2について、ケースから先に取り出した側が親機となり、より多くのバッテリーを消費すると説明しています。左右の残量が常に同じとは限りません。
BTR13とRMCE-TW2は無線化したい範囲で選び分ける


購入候補として比べるなら、まず方式の違いから絞ります。3.5mm・4.4mmのイヤホンをケーブルごと使うならFIIOのBTR13。
対応する着脱式Shure高遮音性イヤホンのケーブルを外したいなら、ShureのTrue Wireless Secure Fit Adapter Gen 2(RMCE-TW2)です。両者は、同じ用途で性能だけを競う製品ではありません。
| 選ぶ基準 | FIIO BTR13 | Shure RMCE-TW2 |
|---|---|---|
| 無線化の方式 | 別体のBluetoothレシーバー | 完全ワイヤレスアダプター |
| イヤホンの条件 | 3.5mmまたは4.4mmの出力に合うイヤホン | 着脱式Shure高遮音性イヤホン |
| ケーブル | イヤホンと本体の間に残る | 対応イヤホンを完全ワイヤレス化 |
| 通話・操作の判断材料 | 3.5mmのCTIA方式リモコンマイクに対応 | 音楽・通話とも両側再生 |
| 再生時間の案内 | 約8時間 | 連続最大8時間、ケース込み最大32時間 |
| 追加の用途・機能 | PC用USB DAC、スマートフォン用DACアンプ | 外音取り込みモード |
| 購入時の要点 | 使うプラグとマイクの方式を照合 | イヤホン別売、対応対象を照合 |
BTR13の公式製品ページでは、Bluetoothだけでなく、PC用USB DACとスマートフォン用DACアンプとしての使い方も案内されています。机ではUSB接続、別の場面ではBluetoothという使い分けを考える人には、この複数モードが判断材料になります。
ただし、PCモード・Phoneモードでの接続と、無線化するBTモードは別の使い方です。
予算の参考として、BTR13の国内公式ページには、2024年9月20日発売、オープン価格で市場予想価格11,990円前後との掲載があります。これは現在の販売価格の保証ではありません。



購入時は、候補の接続条件を絞ったうえで実売価格を比べてください。
RMCE-TW2の公式製品ページでは、外音取り込みモードや、アプリでのEQ・外音取り込みレベルの設定も案内されています。対応イヤホンを持っていて、ケーブルをなくすことを優先するならこちらが候補。
まず端子・対応イヤホンで方式を決め、その後に通話、再生時間、スマートフォンとのコーデックの組み合わせを照合する順番がおすすめです。
有線イヤホンの無線化の選び方まとめ
この記事のまとめです。
- スマートフォンとの接続だけを無線にするなら、Bluetoothレシーバーが候補
- レシーバー型では、イヤホンと本体をつなぐケーブルが残る
- 有線イヤホンで音を受ける用途では、アダプターの受信機能を確認
- BTR13のヘッドホン出力は3.5mm・4.4mmで、USBイヤホン対応の明記はない
- RMCE-TW2は着脱式Shure高遮音性イヤホン向けで、イヤホンは別売
- BTR13を無線で使うときはBTモードにし、スマートフォンとペアリング
- 高音質・低遅延コーデックは、送信側と受信側の両方の対応が必要
- BTR13のイヤホン用リモコンマイク対応は、3.5mmのCTIA方式が条件
- RMCE-TW2の最大32時間はケースでの追加充電を含み、連続再生は最大8時間
- 端子と無線化したい範囲を決めてから、通話・再生時間・コーデックを比較
参考にした情報
- BTR13
- True Wireless Secure Fit Adapter Gen 2 – 着脱式Shure高遮音性イヤホンに対応 – Shure 日本
- Shure Page – Shure 日本
- マイク搭載Bluetooth(R)レシーバー – LBT-PAR02AVBK
- BTR13をBTモードにした時のペアリングモードへの入り方と、ペアリングリストの消去方法
- BTR13をスマートフォンとペアリングできない場合や接続できない場合の対処法
- MM-BTAD6【Bluetoothオーディオトランスミッター&レシーバー】スイッチで送信・受信を切り替え可能なBluetoothオーディオアダプター。送信のみaptX Adaptive対応、マルチポイント搭載。|サンワサプライ株式会社
- Bluetoothコーデックの違いと選び方|音質・遅延を解説|サンワサプライ株式会社











