低遅延ワイヤレスイヤホンを選ぶなら、まずは専用USBトランシーバーを使う機種と、Bluetoothの低遅延モードを使う機種に分けて考えましょう。ゲーム用に通信の遅延値を重視するなら前者、スマートフォンで動画や音楽も楽しみながら音のずれを抑えたいなら後者が検討の入口です。
購入候補は、PS5との連携やゲーム中の電池持ちを重視するならソニーのINZONE Buds、専用USB接続とWindows PCでのゲーム・チャット音量調整を求めるならfinalのVR3000 Wireless for Gaming+、普段使いとBluetoothの低遅延モードを両立したいならオーディオテクニカのATH-SQ1TW2です。
私なら「何msか」を見る前に、使う機器と接続方法を決めます。数字が魅力的でも、その接続方法を使えなければ選んだ目的に届かないからです。
- 専用USB接続とBluetooth低遅延モードの使い分け
- 接続条件を伴う公称遅延値の比較
- iPhone・Android・PC・PS5の接続条件
- ゲーム用途と普段使いから選ぶ3機種
低遅延ワイヤレスイヤホンの選び方と接続条件
ゲーム中心なら専用USB接続、動画兼用ならBluetoothの低遅延モード

ゲーム用の専用USB接続では、再生する機器に付属の送信機を挿し、イヤホンと無線接続します。ソニーのINZONE Budsは、同梱のUSB Type-Cトランシーバーを使う2.4GHzワイヤレス接続に対応し、通信の遅延は30ms未満と案内されています。
finalのVR3000 Wireless for Gaming+も専用USBトランシーバーを同梱し、20ms以下のワイヤレス通信をうたっています。
この方式を選ぶときは、送信機を挿す端子まで含めて考えます。たとえば、PS5やPCを主な接続先にするのか、スマートフォンでも送信機を使うのか。finalの対応案内はUSB-C端子を搭載したPS5、Nintendo Switch、PC、スマートフォンが対象です。
また、説明書にはUSBハブ経由では正しく動作しない場合があると記載されています。端子が足りない環境では、イヤホンの性能と併せて接続経路も検討が必要です。
一方、ATH-SQ1TW2はBluetooth接続で使う低遅延モードを搭載しています。メーカーの説明は、ゲームや動画視聴で音の遅延を少なくするというもの。スマートフォンで普段の音楽を聴き、動画を見るときにモードを切り替える使い方を考えるなら、こちらが候補になります。
専用送信機の公称値と同じ性能を前提にせず、Bluetoothで使う機能として比較しましょう。
公称のms値は接続条件とセットで読む
遅延時間は「レイテンシー」とも表記されます。finalは20msを0.02秒として説明し、その値を付属USBトランシーバーによるワイヤレス通信に結び付けています。ソニーも30ms未満という値を、USBトランシーバーを使う2.4GHz通信の説明に載せています。
どちらも、製品のあらゆる接続方法に共通する値として読むものではありません。
「20ms以下」「30ms未満」「低遅延モード搭載」は、それぞれ表示の意味が違います。ATH-SQ1TW2の公式な低遅延モード案内には具体的なms値がないため、この3機種を同じ条件で測った遅延ランキングにはできません。finalとソニーの数字もメーカーごとの公称値です。

数字だけから、同じスマートフォンや同じゲームでどちらがどれだけ速いかまでは断定しないでおきましょう。
音ゲーに使いたい場合も、公称値を「遅延ゼロ」やプレイ結果の保証へ読み替えないことが大切です。finalの説明書は、Bluetooth通信では音声と映像、アクションにずれが生じることがあり、付属トランシーバーで遅延を大幅に改善すると案内しています。
音のずれを抑える目的には専用USB接続を優先して検討しつつ、特定の音ゲーで気にならないかは別の判断として残ります。
iPhone・Android・PC・PS5は接続方法ごとに対応を確認する


スマートフォンで使うときは、「Bluetooth対応」という大きな区分だけでは足りない場合があります。特に注意したいのがINZONE Budsです。この機種はBluetoothのLE Audioに対応していますが、通常のBluetooth Classicには対応していません。
ソニーの製品案内では、iPhone・iPadにはBluetooth接続できないと明記されています。
そのため、iPhoneとBluetoothで接続することが必須なら、INZONE Budsをその用途の候補にするのは避けましょう。ただし、これはBluetooth接続についての制限です。USBトランシーバーによる接続の可否まで同じ意味にはなりません。
Android端末でのBluetooth接続も、端末名だけで判断せず、ソニーのINZONE Buds対応情報でLE Audio接続の対象を照合するのが購入前の確認箇所です。
コーデック名も接続方式と一緒に読みます。INZONE Budsの仕様表では、LE Audio対応コーデックはLC3。finalのVR3000 Wireless for Gaming+にはSBC、AACが記載されていますが、20ms以下の説明は専用USBトランシーバー側です。
「低遅延の製品に載っている名前だから、Bluetoothでも同じ数値になる」とは考えないようにしましょう。
PCやPS5でも、音が出る接続方法と、その機器で使える操作を分けて見ておくと購入後の用途が明確になります。INZONE BudsはPS5の画面上で音量や電池残量、マイクミュートの状態を確認できます。finalはWindows PCでゲームとチャットの音量を別々に設定できる機能を案内しています。
対応機器名が同じでも、付加機能まで同じとは限りません。
マルチポイントとゲーム中のボイスチャットを分けて考える
「2台に接続できること」と「ゲームをしながらチャットできること」は、どの機器を使うかまで具体化して比べたい項目です。ATH-SQ1TW2のマルチポイント機能は、スマートフォンとPCなど2台の機器に同時接続する機能として案内されています。
それだけを根拠に、2台の音を同時に混ぜて聴けると考えることはできません。
VR3000 Wireless for Gaming+では、Bluetooth接続と専用トランシーバーによる低遅延ワイヤレス通信を同時に使用できません。ゲーム機へトランシーバーを挿し、別のスマートフォンへBluetooth接続する使い方を前提に選ぶと、この制約にぶつかります。
普段のBluetooth再生からゲームへ移る際も、再生中の接続が優先されるため、Bluetooth再生を停止するか、接続を解除して切り替える案内です。
一方、同じWindows PC上でゲームとボイスチャットを使うなら、finalのオーディオミキサー機能が検討材料になります。これはゲームとチャットそれぞれの音量を別々に設定する機能です。別のスマートフォンとの同時接続とは用途が違います。
購入前には「PCだけでゲームと通話をする」「ゲーム機とスマートフォンを併用する」のどちらなのかを決めておきましょう。
低遅延ワイヤレスイヤホン3機種の比較と使い分け
接続方式と使いたい機能から3機種を比較する
ここでは、ゲーム用の専用USB接続を持つ2機種と、Bluetoothの低遅延モードを持つ1機種を比較します。優先するのは、使える接続方法、公称遅延値の条件、ゲームや普段使いに関わる機能です。表の遅延値はメーカーの案内であり、同一環境で測定した実測結果ではありません。
| 製品 | 低遅延で使う接続方法 | メーカーが案内する遅延値 | 主な選択理由 | 購入前の分岐点 |
|---|---|---|---|---|
| INZONE Buds | 付属USB Type-Cトランシーバーによる2.4GHz接続 | 通信の遅延30ms未満 | PS5での状態表示、USB接続時の電池持ち | iPhone・iPadとはBluetooth接続不可。BluetoothはLE Audioのみ |
| VR3000 Wireless for Gaming+ | 付属の専用USBトランシーバー | ワイヤレス通信20ms以下 | Windows PCでゲームとチャットの音量を個別設定 | Bluetoothと低遅延ワイヤレス通信は同時使用不可 |
| ATH-SQ1TW2 | Bluetooth接続の低遅延モード | 公式のモード案内に具体的なms値なし | スマートフォン・PCのマルチポイント、Qi充電 | 障害物や電波状況で通信が途切れやすくなる場合あり |
PS5で使うなら、画面上の状態表示を重視するか、finalが案内するゲイン調整機能を重視するかが分岐点です。Windows PCでゲームとチャットの音量を分けたいならfinal、スマートフォンとPCを行き来する普段使いを中心に考えるならATH-SQ1TW2。
どれも同じ「低遅延」で探せる製品ですが、選ぶ理由は異なります。
INZONE BudsはPS5との連携とUSB接続時の電池持ちを重視する人に


ソニーのINZONE Budsは、型番WF-G700Nのワイヤレスノイズキャンセリングゲーミングヘッドセットです。USB Type-Cトランシーバーを同梱し、2.4GHz接続時の通信遅延は30ms未満。
PS5と接続すると、音量、バッテリー残量、マイクミュートの状態をゲーム画面上で確認できるため、PS5を主な使用先にする人の候補になります。
ソニー INZONE Buds WF-G700N を探す
電池持ちは、ゲームで使う接続方法の数字を見ましょう。USBトランシーバー接続時の連続音声再生は、ノイズキャンセリングOFFで最大12時間、ONで最大11時間。ケースを含めた再生時間は、OFF時に最大24時間です。
イヤホン本体の時間とケース込みの合計は別の項目なので、長時間のプレイを考えるなら本体側を基準に比較します。
仕様表にはLE Audio接続時の最大24時間という本体の値もありますが、こちらはノイズキャンセリングOFFの別条件です。USB接続で低遅延のゲーム用途を考えているときに、そのまま当てはめないようにしましょう。
LE Audio接続時は、ONなら本体最大18時間、OFFならケース込み最大48時間と案内されています。
周囲の音への対応も特徴です。ノイズキャンセリングと外音取り込みの両方を搭載し、ソニーは屋内ノイズの低減によってFPSゲームの細かな音の聴き取りや没入をサポートすると説明しています。低遅延に加え、自宅で周囲の音を扱う機能も欲しい人向けの構成。
ただし、スマートフォン兼用を考える場合は、先にLE Audioの対応条件を満たせるかで候補を絞るのが順序です。
VR3000 Wireless for Gaming+は専用USB接続とPCのチャット調整を求める人に
finalのVR3000 Wireless for Gaming+は、付属USBトランシーバーによって20ms以下のワイヤレス通信を実現するモデルです。
「+」付きの製品は、2024年12月発売のVR3000 Wirelessからソフトウェアとハードウェアを見直したアップデートモデルとして案内されています。購入時は、商品名の末尾まで合わせましょう。
Windows PCでゲームとチャットを使う人には、オーディオミキサー機能が具体的な選択理由になります。トランシーバーを接続すると、音声デバイスとして「VR3000 Wireless – Game」と「VR3000 Wireless – Chat」が表示されます。
ゲームの音声出力をGame側へ、ボイスチャットソフトの音声出力とマイク入力をChat側へ設定し、それぞれの音量をWindowsの音量ミキサーで調整する仕組みです。
接続自体は、対応する機器のUSB-Cポートへトランシーバーを挿し、イヤホンの電源をONにすると自動的につながる案内です。トランシーバーのインジケーターは接続待機中に紫色に点滅し、接続すると消灯します。
機器によってはサウンド出力を本製品へ変更する必要があるため、音が出ないときは接続表示だけでなく出力先も見ます。Bluetoothへ戻る際は、先にトランシーバーを取り外します。
ノイズキャンセリングを搭載し、製品ページの再生時間は本体8時間、ケース込み28時間がANC ON時の値です。最大値としては本体11時間、ケース込み38時間も記載されていますが、ゲームで使う専用USB接続だけの再生時間は、この仕様表では区別されていません。
INZONE BudsのUSB接続時の値と、条件まで同一の比較にはしないでおきましょう。
付属品は充電ケース、専用USBトランシーバー、5サイズのイヤーピース。説明書では充電用ケーブルは付属しないと記載されています。予算を組む際は、必要なケーブルを手元に持っているかも含めて考えます。
専用アプリ「final CONNECT」ではノイズコントロールの切り替えや10バンドイコライザーが使えますが、低遅延接続とBluetoothの同時使用ができない点は、スマートフォンとの併用方法を決める条件として残ります。
ATH-SQ1TW2は普段使いとBluetoothの低遅延モードを両立したい人に


オーディオテクニカのATH-SQ1TW2は、音と映像のずれを抑える低遅延モードを備えた完全ワイヤレスイヤホンです。スマートフォンとPCへのマルチポイント接続、ケースのQiワイヤレス充電、専用アプリ「Connect」に対応。
ゲーム専用のUSB接続よりも、普段の音楽や動画と機器の切り替えを重視する人に向く候補です。
低遅延モードは、左側イヤホンのタッチセンサーを約2秒ロングタッチし、確認音が鳴ったら指を離して切り替えます。操作するたびに「Low latency」「Low latency off」の音声ガイダンスが流れ、ONとOFFが切り替わります。
通話中には切り替えられないため、ゲームや動画を始める前に設定する流れです。アプリからも低遅延モードを扱えます。
低遅延モードで音が途切れる場合は、モードをOFFにするのがメーカーの案内です。障害物や電波状況によってBluetooth通信が途切れやすくなる場合があります。常時ONにすることを前提に選ぶより、動画やゲームで使い、通信が不安定なら戻せる機能として捉えましょう。
この注意はATH-SQ1TW2の低遅延モードについての説明で、専用USB接続の2機種へそのまま広げるものではありません。
「Connect」には、イコライザー、左右の音量バランス、タッチセンサーに割り当てる機能の設定などもあります。操作を変更している場合は、低遅延モードの切り替えと併せて割り当ても把握しておくと使い方が明確です。ファームウェア更新もアプリから行えます。
詳しい操作はATH-SQ1TW2の低遅延モード案内で確認できます。
ATH-SQ1TW2 を探す
選択の分かれ目は、具体的な通信遅延値を持つ専用USB接続が必要か、Bluetoothの便利さを保ちながら音のずれを抑えたいかです。前者ならINZONE BudsやVR3000 Wireless for Gaming+、後者ならATH-SQ1TW2を中心に検討します。



音ゲーを主目的にする人は、ATH-SQ1TW2のモード案内に具体的なms値がないことを踏まえ、専用USB接続の公称値と同等だと見込んで購入しないようにしましょう。
低遅延ワイヤレスイヤホンの選び方まとめ
この記事のまとめです。
- 低遅延ワイヤレスイヤホンは、専用USB接続とBluetoothの低遅延モードに分けて選びます
- 公称のms値は、その数字が適用される接続方法とセットで比較します
- 低遅延の公称値は、遅延ゼロや特定の音ゲーでのプレイ結果を保証するものとして扱いません
- INZONE BudsのBluetoothはLE Audioのみで、ソニーはiPhone・iPadとのBluetooth接続不可を明記しています
- コーデック名だけから、専用USB接続とBluetooth接続の遅延値が同じだとは判断できません
- マルチポイント、別機器との同時接続、同じPCでのゲームとチャットは用途を分けて検討します
- INZONE BudsはPS5との連携が特徴で、USB接続時の本体再生時間はNC OFFで最大12時間、ONで最大11時間です
- VR3000 Wireless for Gaming+は専用USB接続で20ms以下を案内し、Windows PCでゲームとチャットの音量を別々に設定できます
- VR3000 Wireless for Gaming+はBluetoothと低遅延ワイヤレス通信の同時使用に非対応で、充電用ケーブルは付属しません
- ATH-SQ1TW2は普段使い向けの機能と低遅延モードを備え、モード使用中に通信が途切れる場合はOFFにする案内です
- 電池持ちは接続方法、ノイズキャンセリングの状態、本体のみかケース込みかをそろえて読みます
参考にした情報
- INZONE Buds | ゲーミングギア INZONE™(インゾーン) | ソニー
- INZONE Buds (WF-G700N) | 接続情報・対応表 | ゲーミングギア INZONE™(インゾーン) | サポート・お問い合わせ | ソニー
- VR3000 Wireless for Gaming+|final 公式ストア
- INZONE Buds の特長: 接続性 | ゲーミングギア INZONE™(インゾーン) | ソニー
- INZONE Buds 主な仕様 | ゲーミングギア INZONE™(インゾーン) | ソニー
- ニュース:ATH-SQ1TW2|オーディオテクニカ
- 251128_VR3000WL-plus_manual_forweb_JP.pdf
- 低遅延モード(Low latency mode)
- スマートフォン用アプリ


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