マイクのプラグインパワーとは?ファンタム電源との違いと接続・設定

マイクのプラグインパワーとは?ファンタム電源との違いと接続・設定

マイクの仕様にある「プラグインパワー」は、録音機などの接続機器からマイクへ電源を送る方式です。対応する組み合わせなら、マイク側に電池を用意せずに使えます。ただし、マイクを挿す機器にも給電機能が必要。ミニプラグが挿さるだけでは、使える条件がそろったとはいえません。

先に押さえたいのは、電源方式・入力端子・給電設定の3点です。ファンタム電源との違いを理解してから、PCやスマホの端子、録音機の設定へ進みましょう。家庭で声を録るときに役立つ、電池とプラグインパワーを使い分けられるマイクの例も紹介します。

この記事のポイント
  • 接続機器からマイクへ送るプラグインパワーの仕組み
  • ファンタム電源との電圧・給電方式の違い
  • PC・スマホの給電と入力端子の適合条件
  • 録音機の設定と電池両用マイクの使い分け
目次

マイクのプラグインパワーとは?電源と対応条件の基本

接続機器から給電する仕組みと、電池がいらない理由

接続機器から給電する仕組みと、電池がいらない理由

プラグインパワーは、マイクへ送る電気を録音機側が用意する仕組みです。オーディオテクニカは、録音用マイクのプラス信号線に、録音機から数ボルトの電圧を供給する方式と説明しています。音声信号に使う線を通じて給電するため、対応するマイクでは電池交換の手間を省けます。

ここでいう「電池がいらない」は、マイク側の電池のこと。接続機器から電源を受け取って動くので、マイクそのものが電源不要になるわけではありません。コンデンサー型マイクには電源が必要で、その供給方法の一つがプラグインパワーです。同じコンデンサー型でも、電池やファンタム電源を使う製品があります。

小さなラベリア型マイクで多く採用されている方式ですが、給電元は録音機に限りません。PCなども含め、接続する本体が対応している必要があります。また、プラグインパワーはモノラル・ステレオの両方で使われます。「プラグインパワー対応」という表記だけで、録音する音声がモノラルかステレオかまでは決まりません。

ファンタム電源とは電圧と給電方式が異なる

プラグインパワーとファンタム電源は、どちらもマイクへ電気を送りますが、同じ方式ではありません。オーディオテクニカの解説では、プラグインパワーはミニプラグで数ボルトを供給する方式。

ファンタム電源はXLR型プラグとバランス・シールド・ケーブルを使い、ミキサーやマイクアンプなどから供給する方式として区別されています。

比較する項目プラグインパワーファンタム電源
電圧の説明数V。具体的な値は機器・マイクの仕様で判断オーディオテクニカの解説では12・24・48V
端子の説明ミニプラグ。モノラル・ステレオの両方XLR型プラグ
給電の仕組みマイクのプラス信号線に録音機側から給電XLRとバランス・シールド・ケーブルを使って給電
機種別の例ZOOM F2/F2-BTはINPUT端子から2.5Vを常時供給ZOOM H5studioのINPUT 1・2は+48Vを供給

「コンデンサーマイクだから48Vを入れる」と判断するのは避けましょう。必要なのは、そのマイクが指定する電源です。H5studioの説明書も、ファンタム電源に対応していない機器を接続する場合はファンタム設定をオンにしないよう警告しています。

機器が破損することがあるためです。端子の形を変えて使う場合も、給電方式まで合うかを別に判断します。

対応はマイクと接続機器の両方の仕様で判断する

対応はマイクと接続機器の両方の仕様で判断する

対応を調べるときは、マイクの仕様だけで終わらせず、接続先の入力端子の説明も読みます。ソニーのFAQでも、プラグインパワー方式のマイクを使うには、録音機にも同方式の機能が必要とされています。

マイク側は「電源」「対応電圧」「プラグ」、機器側は「マイク入力」「プラグインパワー」「供給電圧」が判断する項目です。

例えば、オーディオテクニカのAT9903は、説明書にプラグインパワー対応電圧が2〜5Vと記載されています。一方、ZOOM F2/F2-BTのINPUT端子は2.5Vを供給します。ただし、この数値だけで両製品の組み合わせを動作保証することはできません。

マイク入力端子の仕様も判断条件です。電圧は適合を調べる一項目として扱いましょう。

メーカーごとの案内にも注意が必要です。ソニーはFAQで、メーカーによって規格が異なり互換性がないとして、同じメーカーの録音機とマイクを使うよう案内しています。ZOOMのF2/F2-BTの説明書では、他社製マイクを接続する際は電源の仕様を確認するよう求めています。

手持ちの製品の案内に沿って判断し、型番の組み合わせが不明ならメーカーへ接続可否を問い合わせるのが確実です。

電池で動くマイクを接続するときも、給電を受けてよい製品かを見ます。オーディオテクニカは、電池内蔵式のマイクをプラグインパワー方式の録音機で使うと、マイクが壊れることもあると説明しています。「電池が入っているから、接続先の電源方式は関係ない」とは考えず、両用製品かどうかを含めて判断してください。

PC・スマホでは給電対応に加えて端子の違いを見る

PC用として選ぶ場合も、ミニプラグのマイクがそのまま使えるとは限りません。オーディオテクニカは、AT9903などを対象とする公式FAQで、PCの仕様によってそのまま使える場合と変換アダプターが必要な場合があると説明しています。

ヘッドホンとマイクの端子が一体型か、別々かという違いが接続方法に関わります。

同FAQは、対象マイクの使用にはプラグインパワー方式の電源が必要で、PCにその機能が搭載されていることも確認するよう案内しています。つまり、端子変換と電源供給は別の条件です。変換アダプターを用意すれば、PC側の給電条件まで自動的に満たせる、という説明ではありません。

ソニーの3極ステレオミニプラグ搭載マイクについてのFAQでは、接続機器のマイク端子が4極の場合には音声が出ず、3極メスから4極オスへ変換するマイク用ケーブルを使うよう案内しています。これは、そのFAQが扱うマイクの条件です。

すべてのミニプラグ製品について「3極なら使えない」「4極なら使える」と一般化するのではなく、自分のマイクと入力端子の組み合わせで判断します。

スマホへの接続例として、RØDEのSC4は、3.5mm TRS出力を備えたマイクを、TRRS入力を備えたスマートフォンやタブレットへ接続する変換アダプターです。ここでの条件は「TRRS入力を備えた機器」。スマホという名称だけで対応するわけではありません。

まず端子の仕様を見て、マイク用の変換が必要か、給電条件も満たすかを分けて考えましょう。

プラグインパワーのマイクを使う設定・接続と選び方

給電設定をオンにする機種と、常時給電する機種

プラグインパワー対応マイクを接続しても、録音機側の給電設定が必要な機種があります。ZOOM H5studioでは、付属マイクカプセルXYH-5sのMIC/LINE IN端子に対応マイクを接続するとき、プラグインパワーをオンにします。INPUT 1・2のファンタム設定とは別の操作です。

  1. H5studioのホーム画面で「INPUT」を選び、ENTERキーを押します。
  2. 「マイク」を選び、ENTERキーを押します。
  3. 「プラグインパワー」を選び、ENTERキーを押します。
  4. 「ON」を選び、ENTERキーを押します。

この項目は、プラグインパワー対応のマイクカプセルを接続した場合のみ設定できます。また、XYH-5sのMIC/LINE IN端子を使うと、XYH-5s自体のマイクは使用できません。外部マイクをつないだときは、給電だけでなく、どのマイクから録音する状態になるかも把握しておきましょう。

操作の詳細はH5studioの公式説明書で確認できます。

一方、ZOOM F2/F2-BTは、INPUT端子から2.5Vのプラグインパワーを常時供給する仕様です。こちらは説明書で、プラグインパワー非対応の機器を接続しないよう求めています。別のマイクへ交換する前に、給電を切り替える機種か、常時供給する機種かを見てください。

非対応機器の接続を「オフにすればよい」と一律には案内できません。

XLR入力で使うには、端子変換と電源変換を区別する

XLR入力で使うには、端子変換と電源変換を区別する

「ミニプラグをXLRへ変換すれば、ファンタム電源で動かせる?」という疑問には、アダプターの機能次第と答えるのが正確です。端子をつなぐ製品と、ファンタム電源をプラグインパワーへ変換する製品では対応が異なります。RØDEのVXLRとVXLR+は、その違いが分かる接続例です。

接続例メーカーが説明する機能・条件
RØDE VXLRメス3.5mm TRSからオスXLRへの変換。ファンタム電源またはプラグインパワーを必要とするマイクには非対応
RØDE VXLR+メス3.5mm TRSからオスXLRへの変換に加え、ファンタム電源をプラグインパワーへ変換。メーカーはVideoMicro・VideoMic GO・HS2などへの給電を説明

VXLR+の製品説明では、12〜48Vのファンタム電源を3〜5Vのプラグインパワーへ変換するとされています。ただし、同じページの「主な特長」には変換後の電圧が4Vとも記載されています。電圧が適合を左右するマイクと組み合わせる際は、この表記の違いも含めてメーカーへ確認が必要です。

この例から分かるのは、アダプターの外形や「XLR変換」という名前だけでは給電対応を判断できないことです。メーカーが明示した対応マイクと電源変換機能を読みましょう。ここで挙げた接続例も、ほかのメーカーのミニプラグマイクすべてに使えるという意味ではありません。

音が入らないときは、給電・入力・出力を順に切り分ける

音が入らないときは、まず「対応する電源を受け取れているか」と「入力端子が合っているか」を見ます。ソニーのFAQは、PCやスマホ側のプラグインパワー対応と、3極・4極の接続条件を確認点に挙げています。

H5studioの説明書も、MIC/LINE IN端子にプラグインパワー対応マイクを接続した場合は給電が必要としています。

給電条件が合っているなら、次は録音する入力の設定です。H5studioでは、録音するトラックをMIC・INPUT 1・INPUT 2から選び、有効にする操作があります。説明書の「音が出ない、もしくは非常に小さい」でも、入力設定や入力音量が確認項目です。

接続した端子と、録音対象にしている入力が対応しているかを見直します。

ヘッドホンで聞こえない場合は、マイクの給電だけに原因を絞らないことも大切です。H5studioは、ヘッドホンの音量、ライン出力レベル、再生中のミキサー設定、出力ケーブルの接続も確認するよう案内しています。入力側と聞く側の設定を分けて見ると、どこを調べるべきかが明確になります。

正しく接続されても音が出ない場合には、ケーブルの断線も考えられるとしています。

電池との両用マイクを電池で使っているなら、専用の電源部分も確認点です。AT9903は、非プラグインパワー機器へ接続する際に付属パワーモジュールを使い、そのスイッチをオンにします。説明書には、使用後に切り忘れると電池が消耗し、音が歪んだり出なくなったりすると記載されています。

同じ無音でも、どの電源方式で使っているかによって見る場所が変わります。

声の録音用は接続先と設置方法から選ぶ|AT9903の例

声の録音用は接続先と設置方法から選ぶ|AT9903の例

家庭で声を録るためにマイクを選ぶなら、接続先の電源方式に加え、衣服に付けるか、机に置くかを考えたいところです。私は、小ささだけでなく、その置き方に対応する付属品も見ます。

オーディオテクニカの「モノラルマイクロホン AT9903」は、2ウェイホルダークリップで衣服への装着と卓上設置に対応する製品例です。

AT9903の選択条件説明書の仕様・使い方
電源電池/プラグインパワー方式両用
プラグインパワー対応電圧2〜5V
録音・指向特性モノラルマイクロホン、全指向性
設置付属2ウェイホルダークリップで衣服へ装着、または卓上に設置
マイク側の接続φ3.5mm金メッキ3極ミニプラグ、コード1.2m
電池で使う場合付属パワーモジュールとアルカリボタン電池LR44を使用。モジュール側の出力はφ3.5mm金メッキ2極ミニプラグ

使い分けで注目したいのは、給電方式によって接続経路が変わることです。プラグインパワー方式の機器では、マイクのプラグを対応するモノラルマイク入力端子へ直接接続します。非プラグインパワー機器では、マイクをパワーモジュールへ接続し、モジュールのプラグを機器のモノラルマイク入力へつなぎます。

電池をマイク本体へ入れる構造ではありません。

このため、電池で動かせることは「どんな入力端子にも接続できる」という意味ではありません。マイク本体の3極プラグと、パワーモジュール側の2極プラグを区別して接続先を判断します。PCで使う場合は、AT9903を対象に含むメーカーの公式FAQも参照してください。

AT9903は、着用と卓上を使い分けたい、電池との両用方式を検討したいときの候補です。一方、モノラル製品なので、ステレオ録音を目的とする選び方では別の対応製品を検討します。購入前にはAT9903の公式説明書と接続機器の仕様を照らし合わせ、設置方法と接続条件の両方が目的に合うかを判断しましょう。

マイクのプラグインパワーの接続・設定まとめ

この記事のまとめです。

  • プラグインパワーは、録音機などの接続機器からマイクへ電源を供給する方式です。
  • 対応する組み合わせではマイク側の電池を省けますが、接続機器にも給電機能が必要です。
  • ファンタム電源とは電圧・端子・給電方式が異なり、マイクが指定する電源を使います。
  • 対応電圧の一致だけで動作を保証せず、入力端子の仕様とメーカーの接続案内も判断条件にします。
  • PC接続では、端子の構成によって変換アダプターが必要な場合があり、プラグインパワー対応も別に確認します。
  • スマホ接続は端子の仕様次第です。TRSからTRRSへの変換例も、TRRS入力を備えた機器が対象です。
  • H5studioでは対応マイクを使う際に給電設定をオンにします。F2/F2-BTは2.5Vを常時供給し、非対応機器は接続しないよう指定されています。
  • XLRへの端子変換と電源変換は別の機能です。アダプターの給電機能と対応マイクを読み分けます。
  • 無音の原因は給電だけに絞らず、録音対象の入力設定とヘッドホンなどの出力設定も切り分けます。
  • AT9903は着用・卓上設置と電池/プラグインパワーの使い分けに対応するモノラルマイクです。電源方式によって接続経路と出力プラグが変わります。
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この記事を書いた人

音の道具が好きで、買い物には少し慎重。マイクやイヤホン選びを、予算・接続・置き場所から一緒に考えます。家で聴く・録る時間を心地よくするヒントをお届けします。

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