ダイナミックマイクのポップガードは、マイクの方式だけで必要・不要を決めず、内蔵の対策と録音に残る息の音で判断するのがよい出発点です。SM58には球形のウィンド/ポップフィルターが内蔵され、SM7Bには標準品に加えて近接用のウインドスクリーンが付属しています。
「パ」「バ」の発音でボフッという音が残るなら、追加のフィルターを検討する場面。口の位置を保ちたいなら前に置くタイプ、対応機種に直接装着したいなら専用ウインドスクリーンが候補です。おとじたくでは、音への効果と、家庭の机まわりで無理なく置けるかの両方から見ていきます。
- 内蔵対策と録音に残るポップ音による必要性の判断
- 前置きフィルターと機種専用ウインドスクリーンの使い分け
- 口・マイク・ポップガードを分けた距離の考え方
- 固定方式と対応型番から選ぶ購入候補
ダイナミックマイクにポップガードが必要になる場面
内蔵フィルターの有無と、実際に残るポップ音で判断する

「ダイナミックマイクだからポップガードはいらない」と一括りにはできません。例えばShureは、SM58の内蔵球形フィルターについて、風や息によるポップノイズを最小限に抑えると説明しています。これは内蔵対策があるという意味で、どんな発音や使い方でもポップ音がなくなるという保証ではありません。

SM58の公式説明では、内蔵フィルターの役割を確認できます。
SM7Bの説明書も、一般の声や楽器には標準ウインドスクリーンを使い、子音のポップ音やウインドノイズをさらに抑えたいときは、大きいA7WSを使えると案内しています。つまり同じダイナミック型でも、対策の選び方は機種と症状次第。
SM7Bを持っているなら、別のポップガードを買う前に付属品で対応できるかを見る順序が自然です。
購入を判断するときは、普段の歌や話し声を録って、気になる発音で息の衝撃音が残っているかを聴いてみましょう。オーディオテクニカの解説では、スピーカーで聴く場合に比べ、ヘッドホンでは吹かれや無駄な息遣いが目立つとされています。
見た目をそろえるために追加するより、実際の収録で困っている音を確かめてから選ぶほうが、目的に合います。
ポップガードが抑えるのは、息が当たる「ボフッ」という音
ポップノイズは、「パ」行や「バ」行の発音などで生じる、ボフッという破裂音です。マイクへ息が直接当たることで起きる吹かれを、口とマイクの間に置いたフィルターで和らげます。声を録るときのポップガードは、この息への対策を担う道具です。
一方、机やスタンドを通じて伝わる振動は、別の問題。オーディオテクニカは、スタンド経由の物理的な振動を和らげる道具としてショックマウントを説明しています。話している瞬間のボフッという音と、机を動かしたときのコツコツした音を分けて考えると、買うべきアクセサリーを取り違えにくくなります。
「録音のノイズが気になる」という理由だけでは、ポップガードの購入を決めるには少し広すぎます。まず、声の特定の発音に合わせて出る音なのか、机やマイクの動きに合わせて出る音なのかを切り分けるところから。ポップノイズを抑える製品の説明を、そのまま振動対策の性能として受け取らないようにしましょう。
前に置くポップガードとウインドスクリーンを使い分ける


前に置くポップガードには、息を和らげる役割に加えて、歌う位置の目印になる利点があります。これに対し、マイクに装着するウインドスクリーンにも、声のポップ音を抑えるために設計された製品があります。「ウインドスクリーンは屋外専用だから、室内の配信には無関係」とは限りません。
| 種類 | 役割・特徴 | 選ぶときの着眼点 |
|---|---|---|
| マイク内蔵のフィルター | SM58では風や息によるポップノイズを低減 | 手持ちのマイクにどんな対策があるか |
| 前に置くポップガード | 息の直撃を和らげ、口の位置の目印にもなる | フィルターを置く空間と固定方法 |
| 装着するウインドスクリーン | 製品によって声のポップ音にも対応 | 対応するマイクの型番と用途 |
例えばオーディオテクニカのAT8176は、AT2040・AT2040USB専用設計で、Web配信やレコーディング時のポップノイズ低減を目的とする製品です。また、SM7Bでは付属ウインドスクリーンの使い分けが示されています。名称だけで優劣を決めず、自分のマイクに合った対策を選ぶことが大切です。
音のこもりが心配なら、布・金属の名前だけで決めない
布か金属かは気になるところですが、素材名だけで「こちらが必ず高音質」とは決められません。オーディオテクニカのスタジオマネージャーは、吹かれへの効き方について、素材そのものより網の密度や何層になっているかという構造の違いを挙げています。息が出やすい人には、網が濃いものを選ぶ考え方も示しています。
製品ごとの設計も見ておきたい点です。KIKUTANIは、二重フィルターのPO-5Sについて、マイク用に設計したフィルターで音がこもらず届くと説明しています。一方、メタル製のPO-8では、フィルターなしと遜色ないほどのクリアさをうたっています。
どちらもメーカーによる各製品の説明であり、両者を同じ条件で測定した音質順位ではありません。
また、装着後に音の印象が変わったときは、口とマイクの位置も振り返りたいところ。SM7Bの説明書では、近づくと温かみのある低音が得られ、離すと低音が抑えられると案内されています。この機種では、フィルターを置くために距離まで変わったなら、その変化も音に関係します。
「こもった気がする」ときに、フィルターの材質だけへ原因を絞らないことが大切です。
ダイナミックマイク用ポップガードの距離と選び方
距離と角度は、マイクの案内を優先して調整する
配置では、口からマイクまでの距離と、ポップガードからマイクまでの距離を分けて考えます。この二つを混ぜると、フィルターを動かしたつもりが、声を出す位置まで変わってしまいます。まず手持ちのマイクが案内する話し方・距離を基準にし、その間に外付けフィルターを配置する考え方です。
SM7Bの日本語説明書では、口からマイクまで2.54〜15cmの距離で、マイクへ直接話すよう案内しています。これはSM7Bの使用案内であり、すべてのダイナミックマイクや、外付けポップガードの間隔にそのまま当てはめる数値ではありません。
近い位置で使いたい場合の息への対策としては、同じ説明書に近接用ウインドスクリーンの案内があります。
外付けフィルターの配置例として、RØDEの公式サポートは、マイクと音源の間に置き、マイクから約5cm離す方法を紹介しています。フィルターで振動板の範囲を覆い、振動板に対して平行に置くという案内です。
ただし、このページはRØDE製品向けの一般的な設置ガイドで、ダイナミック型全機種の指定値ではありません。



約5cmは参考例として扱い、対象機種の説明を優先しましょう。
角度についても一律ではなく、RØDEは音源に対してマイクを少し斜めにする方法を紹介する一方、SM7Bの説明書はマイクへ直接話すよう案内しています。「何度傾ければ正解」と共通の角度を決めるより、機種の案内を出発点に、ポップ音と声の聞こえ方を見ながら位置を詰めていきます。
歌う位置の目印として、無理なく声を出せる場所に置く


ポップガードは、息を抑えるだけでなく「このあたりに口を置く」という目印にもなります。マイク単体では、どこまで近づいてよいか迷いやすいもの。前にフィルターがあれば、声を向ける範囲が見え、歌っている途中で近づきすぎることへのガードにもなります。
オーディオテクニカの解説では、テンポの速い曲と、近づいて繊細に歌いたいバラードでは、歌い手の動きや望む位置が変わると説明されています。口の位置を完全に固定するためというより、その曲で狙う位置を意識するための目印。歌い方に合わせて場所を決めることにも意味があります。
ただ、大きければ使いやすいとも限りません。同社のスタジオマネージャーは、歌うときの障害や圧迫感にならないことも重視しています。机の前で声を出す場面でも、フィルターの大きさだけでなく、自然な姿勢で口を向けられる位置に置けるかを選択基準にするとよいでしょう。
専用か汎用かより、固定方式と対応型番を確かめる
前に置くポップガードを探すときは、「ダイナミックマイク専用」という表示だけを探すより、どう固定して必要な位置へ届かせるかを見ます。クリップで挟むPO-5Sと、ネジ締めで固定するPO-8では、取り付け方も仕様の示し方も異なります。マイクにかぶせる専用品の場合は、対応型番が判断の中心です。
PO-5Sの「クリップ最大幅40mm」と、PO-8の「取り付け可能径φ25mm」は、同じ意味の数値ではありません。前者はクリップの最大幅、後者は取り付ける部分の径として示されています。どちらも「この厚さの机なら必ず付く」と読み替えず、固定したい場所の形状と照らし合わせる必要があります。
位置調整の方法も違います。PO-5Sにはフィルター部とクリップ部の二つの回転軸があり、PO-8は曲げて位置を調整するグースネック式です。固定できても、口とマイクの間へフィルターを置けなければ目的を果たせません。固定位置から声を出す場所までを、ひと続きで考えて選びましょう。
購入候補は小型・位置調整・機種専用の違いで選ぶ


ここでは、前に置くタイプを2製品、対応マイクに使う専用品を1製品挙げます。音質の順位ではなく、置き場所と取り付け方による候補です。すでにSM7Bを持っている場合は、前述の付属ウインドスクリーンの使い分けから始められます。
| 製品 | 構造・位置調整 | サイズ・取り付け条件 | 向いている選び方 |
|---|---|---|---|
| KIKUTANI ポップガード PO-5S | 二重フィルター、クリップ式、二つの回転軸 | ネット径φ100mm、クリップ最大幅40mm | 小型のフィルターを前に置きたい |
| KIKUTANI メタルメッシュポップフィルター PO-8 | 金属フィルター、グースネック式、ネジ締め固定 | フィルター径φ135mm、取り付け可能径φ25mm | 曲げてフィルター位置を調整したい |
| オーディオテクニカ AT8176 | 機種専用ウインドスクリーン | AT2040・AT2040USB専用設計 | 対応機種で配信・録音時のポップノイズを抑えたい |
PO-5Sは、小型で、ワンタッチのクリップを使う取り付け方が特徴です。ネット径と固定する場所の条件が合い、二つの回転軸で狙う位置へ置けるなら候補になります。大きなフィルターに圧迫感がある人は、このサイズから検討してみるとよいでしょう。
PO-8は、グースネックを曲げて配置を調整したい場合の候補。メーカーは、風の角度を変えて散らすように設計した金属フィルターと説明しています。金属という素材だけで選ぶのではなく、ネジ締め式の固定と位置調整が、自分の設置場所に合うかまで見たい製品です。
AT8176は、AT2040・AT2040USBを使っている人向けです。専用設計という対応関係が明確なので、型番が合う場合に検討できます。別のマイクにも見た目で合いそうだからと流用するのではなく、前に置くタイプとは適合の確かめ方が違う製品として選びましょう。
オーディオテクニカ AT8176 ウィンドスクリーン 適応機種: AT2040 AT2040USB ポップノイズ軽減 配信 ナレーション レコーディング ゲーム実況 【国内正規品】
ダイナミックマイクのポップガード選びのまとめ
この記事のまとめです。
- ダイナミック型という理由だけで不要と決めず、内蔵対策と録音に残るポップ音で判断します。
- SM58には、風や息によるポップノイズを抑える球形フィルターが内蔵されています。
- SM7Bは、標準品でポップ音が気になる場合、付属の大きいA7WSを使う選択肢があります。
- 息の破裂音とスタンド経由の振動は、対策する道具を分けて考えます。
- ウインドスクリーンにも、室内の配信や録音のポップノイズを抑える専用品があります。
- 布・金属の名前だけで音質を決めず、網の密度や層構造、製品ごとの設計を見ます。
- 口からマイクまでの距離と、フィルターからマイクまでの距離を区別し、対象機種の案内を優先します。
- 前に置くポップガードは歌う位置の目印にもなり、圧迫感の少ない配置も大切です。
- PO-5Sは小型のクリップ式、PO-8はネジ締め固定のグースネック式で、取り付け条件が異なります。
- AT8176の対応はAT2040・AT2040USB。専用ウインドスクリーンは型番の一致を基準に選びます。
参考にした情報
- 【初心者向け】第7回マイクの選び方と使い方「ポップフィルターとは(前編)」|オーディオテクニカ「アストロスタジオ」
- 【初心者向け】第8回マイクの選び方と使い方「ポップフィルターとは(後編)」|オーディオテクニカ「アストロスタジオ」
- SM58 – ボーカルマイクロホン – Shure 日本
- ja-JP.pdf
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