USBマイクで声をPCへ取り込むなら、別のオーディオインターフェイスを必ず買う必要はありません。たとえばShure MV6はPCやMacへUSB接続でき、マイク本体のヘッドホン出力で音を聞けます。
一方、ギターと声を別々の入力から同時録音したい場合には、外付けオーディオインターフェイスを使う構成が候補になります。
迷いやすいのは、「USBマイクをインターフェイスへつなぐこと」と「両方をPCにつないで使うこと」が別の話だからです。私は、まず録りたい音と接続先を整理し、それから必要な機材を選ぶ順番をおすすめします。
声中心ならUSB接続、楽器も個別に録るなら外付け機器、将来どちらも使いたいならUSB・XLR両対応、という分け方から見ていきましょう。
- USBマイク単体でPCへ接続する選択肢
- USB端子の用途と対応マイクの区別
- OS・アプリ・ドライバーで変わる併用条件
- 声・楽器・将来の接続先に合わせた機材選び
USBマイクとオーディオインターフェイスの違い・接続・併用
USBマイクで声を録るなら、外付け機器は必須ではない

オーディオインターフェイスは、マイクや楽器の音をPCなどへ取り込み、PCからの音をスピーカーやヘッドホンへ出力する機器です。外付けタイプの例であるZOOM AMS-24では、マイクや楽器を本体の入力端子へ接続し、本体とPCをUSBケーブルで結びます。
音を取り込む入口と、聞くための出口をまとめて担当する道具と考えると、役割をつかみやすくなります。
これに対し、USBマイクにはPCへ直接つなげる製品があります。MV6はUSB-C出力でPCやMacと接続し、3.5mm出力でリアルタイムのヘッドホンモニタリングができます。この構成なら、マイクとPCの間に別の箱を追加することは必須ではありません。
「PCで録音するには必ずマイクとインターフェイスの両方が必要」と考えて、先にそろえなくても大丈夫です。
ただし、声をUSBで取り込めることと、複数の楽器入力を持つことは別です。AMS-24はマイクやギターなどを接続する入力を備え、ギターとボーカルを個別のトラックに同時録音できます。購入を分ける基準は、まず「自分の声を取り込みたいのか」「複数の音を別々に取り込みたいのか」。

外付け機器の必要性は、録音したい内容から決めると整理できます。
USB端子があっても、USBマイク入力に使えるとは限らない
インターフェイスにUSB端子があるだけでは、USBマイクの接続先にはなりません。見るべきなのは端子の形より、その端子が何を接続するためのものかです。AMS-24の場合、USB Type-C端子はPC・スマートフォン・タブレットとの接続用。
別にあるDC 5VのType-C端子は電源用で、マイク入力はXLRまたは標準フォンプラグに対応するINPUT 1–2です。
そのため、AMS-24のUSB端子を「USBマイクを挿す入力」として選ぶのは、説明書にある接続用途と合いません。同じType-Cでも、PCとの音声通信に使う端子と電源を受ける端子があります。
ケーブルの両端が挿せるかだけで購入を決めず、製品説明の「入力端子」と「USB端子の用途」を対にして見るのがポイントです。
一方で、USBマイクを受けられる例外もあります。RØDEの公式ガイドでは、RØDECaster DuoのUSB 2ポートに対応RØDE USBマイクをUSB-C–Cケーブルで接続できると説明しています。対応一覧にはPodMic USBやNT-USB Miniなどが含まれます。
ただし、USBマイク側の処理は操作できても、RØDECaster独自のチャンネル処理やエフェクトは適用されません。これは対応機種を指定した機能であり、手持ちのUSBマイクが何でも使えるという意味ではありません。
PCでの併用は、入力と出力を分ける場合と複数入力で条件が違う


USBマイクと外付けインターフェイスを、それぞれPCへ接続して使う方法もあります。ただし、「マイクで入力し、別の機器から音を出す」のか、「両方の機器から同時に録音する」のかで設定が変わります。前者なら入力・出力を別々に選べるか、後者なら複数の入力装置をまとめて扱えるかが判断の分かれ目です。
Macでは、Logic ProやGarageBandなどで入力と出力に別々の機器を使えます。また、Audio MIDI設定の「機器セット」を使うと、複数のオーディオ装置をアプリ上で一台として扱えます。Appleは複数のUSBマイクも例に挙げています。
作成時は使用する装置を選び、クロックソースと、それ以外の装置の音ずれ補正を設定します。入力番号は装置の順序に対応するため、録音アプリでどの入力を選ぶかまで合わせる必要があります。
Windowsについては、OS名だけで可否を決めつけられません。Ableton Liveの公式案内では、MME/Direct X使用時は入力と出力に異なる機器を選べますが、ASIO使用時は通常、一台を入出力の両方に選びます。
ASIO4ALLで複数機器を組み合わせる方法も案内されています。これはLiveでの条件であり、他のアプリへそのまま当てはめるものではありません。まず使用アプリとドライバー方式を特定することが、併用判断の出発点です。
なお、Abletonは機器セットについて、単独のインターフェイスと同じ動作は期待できず、環境によって音飛びや遅延値の問題が起こり得ると注意しています。手持ちを生かす選択肢としては有用ですが、これから複数入力の録音環境をそろえるなら、必要な入力を一台に集める構成も比較するとよいでしょう。
声の遅れが気になるなら、モニターする経路を選ぶ
自分の声を聞きながら話したい場合は、機器を増やす前に、どこからヘッドホンへ音を出すかを決めましょう。AMS-24のダイレクトモニターは、本体に入った音をPCを経由せずヘッドホンなどへ送る機能で、メーカーは遅延のないモニタリングが可能と説明しています。対象はAMS-24の入力端子に入った音です。
USBマイク側にも、直接聞けるヘッドホン出力を持つ製品があります。MV7+は、本体のヘッドホンジャックを使った遅延のないモニタリングを案内しています。声の確認が目的なら、この機能を持つUSBマイクも選択肢です。「ヘッドホンをつなぐには外付けインターフェイスが要る」と一律に考える必要はありません。
接続できることと、遅れなく聞けることは分けて見たい点です。RØDECaster Duoへ対応USBマイクをつなぐ場合でも、RØDEはゼロレイテンシーのモニタリングにはヘッドホンをマイクへ直接接続するよう案内しています。
USBマイクを別の機器につなげば、その機器のヘッドホン端子でも同じ条件になる、とは限りません。
選び方としては、USBマイク中心ならマイク本体のモニター機能、XLRマイクや楽器を外付け機器へ集めるならその機器のダイレクトモニターを比べると、接続を整理できます。AMS-24を使う際は、ヘッドホンやスピーカーを接続する前に本体の音量を0にするというメーカーの注意も守りましょう。
USBマイクとオーディオインターフェイスを用途で選ぶ
一人の声をPCへ届けたいならUSBマイクから選ぶ
ゲーム配信などで自分の声をPCへ取り込みたいなら、USBマイクから検討すると必要な接続を絞れます。購入候補の一つがShureのMV6です。PC・MacへつなぐUSB-C出力と、リアルタイムモニタリング用の3.5mmヘッドホン出力を備えています。
別のインターフェイスを組み合わせる前提を置かずに、声の入力と聞き返しを考えられる製品です。
MV6には、マイクとの距離や音量に応じて入力のゲインを調整するオートレベルモード、タップミュート、リアルタイムデノイザーなどがあります。選ぶ際には、こうした声の扱い方を助ける機能が自分に必要かを見ましょう。
たとえば、手元ですぐミュートしたいならタップ操作、声量に応じた調整を任せたいならオートレベルが比較項目になります。機能名の多さより、配信中にどの操作をしたいかへ結び付けると選びやすくなります。
接続先もPCだけとは限りません。MV6の公式案内は、ほとんどのWindows・MacとAndroid・iOS端末での動作を挙げる一方、Lightning搭載iOS端末では別売りのUSB-C–Lightningケーブルが必要としています。
「USBマイクだから手持ちの端末すべてにそのまま挿せる」とは考えず、まず使う端末を一つ決め、その端子とアプリの対応条件まで含めて選びましょう。
ギターと声を別々に録るなら、入力を持つ機器を選ぶ


ギターとボーカルを同時に、しかも別々のトラックへ録音したいなら、外付けインターフェイスが具体的な候補になります。ZOOM AMS-24は、MUSICモードでこの使い方に対応します。声を取り込むことに加えて、楽器も独立した入力として扱いたい人に向く選択です。
AMS-24にはINPUT 1–2があり、XLRと標準フォンプラグに対応します。ギターやベースはINPUT 1へ、マイクはINPUT 1または2へ接続する構成です。
キーボードなどのステレオ接続ではINPUT 1–2を使用するため、入力数だけでなく「どの楽器が、どの端子を使うか」まで見る必要があります。ボーカルとギターの構成を、ステレオキーボードとボーカルへ無条件に置き換えないことが大切です。
録音と配信で音のまとめ方を変えられる点も、この機種の比較材料です。MUSICモードは入力を別々の信号として扱い、STREAMINGモードは入力をミックスしてPCなどへ送ります。同じマイクと楽器でも、個別トラックに録りたいのか、まとめて配信したいのかで使い分けられます。
詳しい接続はAMS-24の説明書で確認できます。
準備にも機種固有の条件があります。AMS-24を使って初めてWindowsパソコンのDAWアプリケーションに録音する場合は専用ドライバーが必要で、Macでは不要です。また、ファンタム電源は両方のXLR入力へ同時に供給されます。



メーカーは非対応機器へ供給しないよう警告しているため、二つの入力を併用するときは、接続する両方の機器の電源条件を合わせて判断してください。
将来XLR接続も使いたいなら、USB・XLR両対応を選ぶ
今はUSBで手軽に始めたいけれど、後からインターフェイスを使う予定があるなら、USB・XLR両対応マイクが候補です。ShureのMV7+はUSB-CとXLRの両出力を備え、USBではPCなどへ、XLRではオーディオインターフェイスへ接続できます。マイクを選ぶ段階で、二つの接続経路を持たせられます。
ここで押さえたいのは、インターフェイスへつなぐときはマイクのXLR出力を使うことです。「USBマイクを変換して接続する」という発想より、最初から必要な出力を備えたマイクを選ぶほうが、メーカーの案内に沿って接続を組み立てられます。
自宅ではUSB、別の録音環境ではXLRという用途が具体的にある人にとって、両対応の意味がはっきりします。
MV7+には本体のヘッドホンジャックもあり、遅延のないモニタリングが案内されています。一方、USBとXLRの両方を備えることだけを根拠に、アプリでの調整や処理まで両接続で同じと考えるのは避けましょう。接続を選ぶ際は、必要な出力に加え、その経路で使いたい機能の対応条件も見る必要があります。
ここでは、USB・XLRのどちらにも接続先を持てることを選定理由としています。
逆に、PCで声を取り込む用途が中心で、XLR接続を使う予定がなければ、両対応を必須条件にする必要はありません。MV6のようなUSB接続の候補と、MV7+のような両対応の候補を並べ、将来の接続先が本当に決まっているかで選ぶと、機能を持て余しにくい比較になります。
購入前は「録る音・接続先・聞く場所」で絞り込む


最後は、機材名より自分の使い方を主語にすると決めやすくなります。一人の声をPCへ入れる、ギターと声を個別に録る、USBとXLRを使い分ける。この三つでは、必要な接続が異なります。以下は音質の順位ではなく、接続と用途による候補の整理です。
| やりたいこと | 構成の候補 | 具体例と判断条件 |
|---|---|---|
| 一人の声をPCへ取り込む | USBマイクをPCへ接続 | MV6はUSB-C接続と本体ヘッドホン出力に対応 |
| ギターと声を個別トラックへ同時録音 | マイク・楽器を外付けインターフェイスへ接続 | AMS-24のMUSICモード。使用する入力端子も確認 |
| 今はUSB、将来はXLRも使う | USB・XLR両対応マイク | MV7+はPCへのUSB接続と、インターフェイスへのXLR接続に対応 |
| 手持ちのUSBマイクと別の機器をPCで併用 | アプリの入出力設定や機器セットを利用 | OS・アプリ・ドライバー方式で条件が変わる |
すでにUSBマイクを持っているなら、まず不足していることを一つに絞りましょう。自分の声を直接聞きたいならマイク本体のモニター機能、楽器入力を増やしたいなら外付け機器の入力、別の出力機器を使いたいならアプリの入出力設定が調べる場所です。
目的を分けることで、インターフェイスを買うべきなのか、今の接続設定を見直すべきなのかが見えてきます。
USBマイクとオーディオインターフェイスの選び方まとめ
この記事のまとめです。
- USBでPCへ直接接続できるマイクなら、外付けインターフェイスは必須ではありません。
- オーディオインターフェイスは、マイクや楽器の入力と、PCからの音声出力を担う機器です。
- USB端子があるだけではUSBマイク入力に使えず、端子ごとの用途を見分ける必要があります。
- RØDECaster Duoのように対応USBマイクを受けられる機器もありますが、対応機種と処理の制限があります。
- PCで入力と出力を別々に使うことと、複数装置から同時録音することは、設定条件が異なります。
- Windows版Ableton Liveでは、MME/Direct XとASIOで入出力機器の選択条件が異なります。
- 声の遅れを避けたい場合は、マイク本体のモニター機能や外付け機器のダイレクトモニターを比較します。
- 一人の声をPCへ取り込む用途では、USB接続とヘッドホン出力を備えるMV6が候補になります。
- ギターと声を個別に同時録音する用途では、AMS-24のMUSICモードが候補になります。
- 将来XLR接続も使うなら、MV7+のようなUSB・XLR両対応マイクを検討できます。












