防水イヤホンの選び方|IPX4・IP68の違いと用途別のおすすめ3機種

防水イヤホンの選び方|IPX4・IP68の違いと用途別のおすすめ3機種

防水イヤホンを選ぶなら、最初に決めたいのは「雨や汗に備えたいのか、泳ぎながら聴きたいのか」です。雨・汗を伴う普段使いにはIPX4の対応機種も候補になります。一方、水泳にはメーカーが水中使用に対応すると明示した製品が必要。IP68でも、水中や入浴時の使用を想定していないイヤホンがあります。

この記事では、日常の雨・汗対策ならソニー「WF-C710N」、運動時のフィット感を重視するならAnker「Soundcore Sport X20」、水泳ならShokz「OpenSwim Pro」を候補として紹介します。

私は、防水の数字と同じくらい、使える場所と使用後の扱いを大切にしたいと考えています。お風呂と水泳を分け、本体とケースの違いまで見ていきましょう。

この記事のポイント
  • IP等級とメーカーが認める用途の違い
  • お風呂と水泳で異なる使用条件
  • 雨・汗、運動、水泳向けの3機種比較
  • 本体・ケースの仕様と充電前の乾燥
目次

防水イヤホンの基礎知識|IP等級と使える場所の違い

IPX4・IPX7・IP68は何が違う?

IPX4・IPX7・IP68は何が違う?

IP規格は、機器の外郭が異物や水の侵入をどの程度防ぐかを示す規格です。IPX4なら末尾の「4」が防水の等級。IP68のように数字が2つ並ぶ場合は、前の数字が防塵、後ろが防水を表します。IP68の「6」は粉塵が内部に侵入しない等級、「8」は個別に定めた条件での水没に対する保護です。

防水の表記保護する水のかかり方選ぶときの読み方
IPX4あらゆる方向からの水しぶき水しぶきへの保護。水中使用の対応とは別
IPX5あらゆる方向からの噴流水水を噴き付ける試験への保護
IPX6あらゆる方向からの強い噴流水強い噴流水への保護
IPX7規定の圧力・時間で一時的に水中に沈めた場合一時的な浸漬への保護。水泳の可否は製品ごとに判断
IPX8IPX7より厳しく、個別に取り決めた条件での水没水深・時間など、その製品の条件を読む

IPX7の試験は、機器の高さが850mmより低い場合、水深1mに30分間沈める条件です。ただし、これは試験条件の説明であり、「30分間なら泳いでよい」という使用許可ではありません。IPX8も全製品で同じ水深・時間を保証する数字ではないため、商品ページや説明書に記載された個別条件が欠かせません。

実際、WF-C710NはIPX4で雨天や汗をかく場面に対応し、Sport X20はIP68で雨や運動時の汗への対応を案内しています。雨・汗が目的なら、等級の大きさだけを追うより、その用途への対応が明記された機種から選ぶのがよいでしょう。そこから装着方法や、音楽を聴くための機能を比べていきます。

IPX7やIP68ならお風呂・シャワーでも使える?

IPX7やIP68という表記だけでは、お風呂・シャワーに使えるとは判断できません。たとえばSport X20はIP68ですが、メーカーは水中や入浴時の使用を想定していないと明記し、サウナや浴室など水蒸気が多く発生する場所での使用を避けるよう案内しています。

「湯船に沈めなければ使える」とも読み替えられません。

IPX7も同様です。オーディオテクニカのATH-CK1TWはIPX5/7相当ですが、お風呂など高温多湿の場所では使用できず、故意に水中へ沈めたり、水中で使用したりしないよう説明されています。水に沈める試験を通過したことと、入浴中に使うための設計は分けて考える必要があります。

水の種類も判断点です。WF-C710Nの防滴性能の対象は真水・水道水・汗。石けん水、洗剤や入浴剤の入った水、シャンプー、温泉水、お湯、プールの水、海水は対象外です。汗に対応するイヤホンだからといって、浴室で触れる液体にも同じ性能を期待できるわけではありません。

入浴用に探しているなら、等級に加えて、高温多湿の浴室やお湯への対応がメーカーから明示されているかを見ましょう。後述するOpenSwim Proの防水条件も、製品ページの脚注では淡水での水深・時間が示されています。水泳対応という説明を、そのまま湯船やシャワーへの対応へ広げて選ばないことが大切です。

水泳用は防水性能に加えて音楽の再生方法も見る

水泳用は防水性能に加えて音楽の再生方法も見る

泳ぎながら聴きたい場合は、メーカーが水泳に対応すると明示し、水中でも音楽を再生できる機種を選びます。OpenSwim Proはその候補で、管理された実験室条件下の試験に基づき、2mの淡水に2時間まで沈められると案内されています。

ただし、防水性は恒久的なものではなく、通常の摩耗や損傷で耐性が低下する可能性があります。

もう一つの条件が、スマートフォンからどう音楽を届けるかです。Shokzの公式FAQは、Bluetoothが水中では正常に接続できないため、泳ぐ・潜る動作中の使用を控えるよう案内しています。OpenSwim Proも水中で使えるのは、内部に保存した音楽を再生するMP3モード。

陸上でのBluetooth接続とは使い方が変わります。

そのため、購入前に「パソコンから音楽ファイルを転送して使う形でよいか」まで考えておきたいところです。OpenSwim Proの説明書では、音楽を転送し、BluetoothからMP3へ切り替えてから水中に入る手順が示されています。

水中ではBluetooth経由の音声再生や着信への応答もできません。スマートフォンとつないだまま泳ぐ使い方を期待している場合は、この違いを押さえておきましょう。

充電ケースは別仕様|濡れたあとは乾燥してから充電

本体の防水表記を、充電ケースにも当てはめないようにしましょう。WF-C710Nのケースは防滴に対応せず、Sport X20のIP68もイヤホン本体だけが対象で、ケースは対応していません。雨や汗を伴う使用に対応する本体でも、使い終えて収納するときにはケースの仕様を分けて考える必要があります。

濡れた直後は、充電の前に水分を取り除きます。WF-C710Nでは、水や汗で濡れたまま充電すると端子が腐食するため、乾いた柔らかい布で水分を完全に拭き取り、常温で放置して乾燥させてから充電するよう案内されています。

Sport X20も、イヤホンとUSBポートに水や汗が付いている場合は、完全に乾かしてから充電する指定です。

水がかかったあとの細かな手順は機種ごとの説明書に従います。例として、WF-C710Nでは次の手順です。

他機種へ回数や動かし方をそのまま流用せず、お使いの型番の案内を優先してください。

  1. 本体に付いた水滴を、乾いた柔らかい布などで拭き取る
  2. イヤーピースを外し、音導管を下に向けて2〜3回振り、水滴を取り除く
  3. マイク部分と通気孔部分を下に向け、乾いた布などに20回程度、軽くたたくように当てて内部の水を出す
  4. その状態のまま常温で放置し、乾燥させる

WF-C710Nでは、音導管・通気孔・マイク部分は非耐水エリアです。ここに水が残ると、一時的に音が聞こえにくくなる、ノイズキャンセリングの効果が弱くなる、異常な音が出る、通話音声が聞こえにくくなることがあります。メーカーはこれらを故障ではない場合の症状として案内しています。

防滴仕様でも、音の出口まで水の影響を受けないわけではありません。

防水イヤホンのおすすめ3機種|用途と使い方で選ぶ

雨・汗、運動、水泳のどれを優先するかで比較

ここでは、防水等級の順位ではなく、使い方に合う3機種を並べます。日常の雨・汗対策に加えて通勤や家での機能も求めるならWF-C710N、運動中の装着を調整したいならSport X20、水中での再生が必要ならOpenSwim Pro、という分け方です。

特にSport X20とOpenSwim Proは、どちらもIP68でも購入目的が異なります。

製品本体の防水表記主な選択理由水中使用・ケースの扱い公式表示価格(税込)
ソニー WF-C710NIPX4雨・汗への対応と、ノイズキャンセリング・外音取り込み水中使用不可。充電ケースは防滴非対応17,600円
Anker Soundcore Sport X20IP68長さ・角度を調整できるイヤーフック水中・入浴時の使用は想定外。充電ケースはIP68非対応9,990円
Shokz OpenSwim ProIP68水泳対応と、Bluetooth・MP3の切り替え水中はMP3モード。防水試験条件は淡水2m・2時間まで32,880円

価格は2026年10月29日に各メーカーの公式ページで確認した表示です。WF-C710Nはソニーストアの販売価格で、オープン価格の製品です。購入時の価格は販売先や時期によって確認してください。

予算を抑えてスポーツ向けを選ぶならSport X20が候補になりますが、水泳が目的なら価格差より水中使用への対応を優先する必要があります。

WF-C710N|雨・汗対策と普段の使いやすさを両立

WF-C710N|雨・汗対策と普段の使いやすさを両立

ソニーのWF-C710Nは、雨天や汗をかく場面での使用に対応したIPX4のイヤホンです。防滴性能はケースを除く本体のみで、音導管・通気孔・マイク穴も対象から除かれます。水中で使う予定がなく、外出や運動での雨・汗に備えたい人の候補です。

普段使いの機能として、ノイズキャンセリングと、音楽を聴きながら周囲の音も聞ける外音取り込みモードを搭載しています。また、スマートフォンとPCなど2台への同時接続にも対応。たとえばPCのオンライン会議を終えたあと、スマートフォンで音楽を再生すると接続先を切り替えられます。

このマルチポイント機能は「Sony Sound Connect」アプリで有効にする必要があります。

本体だけの音楽再生時間は、ノイズキャンセリングONで最大8.5時間、OFFで最大12時間。ケース充電を含む合計は、それぞれ最大30時間・最大40時間です。AAC接続、DSEE・イコライザーOFF、その他は初期設定という条件が付くため、常にその時間使えるという保証ではありません。

本体の連続再生と、ケースで充電しながら使う合計時間を分けて見ておきましょう。

イヤホンを一時的に外すと音楽が止まり、装着し直すと再生する装着検出機能もあります。ただし、再生機器やアプリによって正しく動作しない場合があります。家と外で同じイヤホンを使い、接続や音楽の中断を手軽にしたい人は、防滴性能と一緒にこうした機能も比較してみてください。

Soundcore Sport X20|運動時のフィット感を調整したい人に

AnkerのSoundcore Sport X20は、IP68の防塵防水性能とSweatGuardテクノロジーを備え、雨や運動時の汗に対応する完全ワイヤレスイヤホンです。特徴は、耳に合わせて長さと角度を調整できる柔らかいイヤーフック。メーカーは激しい運動中も外れにくい設計として案内しています。

Anker Soundcore Sport X20 を探す

フィット感はフックだけで調整する仕組みではありません。付属のイヤーチップはXS・S・M・L・XLの5サイズ。耳に合うサイズを選び、本体の位置とフックを調整したうえで、Soundcoreアプリの装着テストから状態を確認できます。

なお、フックは取り外せず、360度回転もできません。調整できる範囲を理解して選びたい製品です。

ノイズキャンセリングと外音取り込みにも対応し、本体の音楽再生時間は通常モードで最大12時間、ノイズキャンセリング使用時で最大7時間です。ケース使用時の合計は最大48時間・最大28時間。公式FAQでは50%の音量での使用を条件に案内しており、音量や再生内容によって時間は変わります。

ノイズキャンセリングを使うつもりなら、最大12時間だけで判断しないようにしましょう。

選ぶ理由は、運動時の汗への対応と、装着を細かく調整できることです。前半で触れたとおり、水中・入浴用には位置付けられていません。IP68という数字がOpenSwim Proと同じでも、泳ぐための代替候補にはせず、陸上のスポーツ用として比較しましょう。

OpenSwim Pro|水泳と陸上で再生モードを使い分け

OpenSwim Pro|水泳と陸上で再生モードを使い分け

ShokzのOpenSwim Proは、水泳用の骨伝導イヤホンです。耳を塞がないオープンイヤーデザインで、スイムゴーグルやスイムキャップとの併用を考慮した設計。物理ボタンで操作でき、水泳と陸上のトレーニングで同じ1台を使い分けたい人に向いています。

内蔵ストレージは32GBですが、システムファイルやデータ管理機能によって使用可能な容量は異なります。音楽を入れるときは、付属ケーブルでパソコンにつなぎ、「SWIM PRO」ドライブへ対応する音声ファイルをドラッグ&ドロップします。

MP3のほかFLAC・WAV・AAC・M4A・APE・WMAにも対応。ShokzアプリやBluetoothを経由して、音楽を直接ダウンロードすることはできません。

再生時間はBluetoothモードで最大9時間、MP3モードで最大6時間です。水泳で使う場合に見るのはMP3モードの数値。メーカーの試験条件は25±2℃、音量60%、その他の機能は初期設定などで、実際の時間は音量・音源・使用環境などに左右されます。

最大9時間という表示を、そのまま水中での再生時間と受け取らないようにしましょう。

水辺で使ったあとの扱いも購入前に押さえておきたいところです。日本語ユーザガイドでは、海水で使用したあとは腐食を防ぐために清潔な水でよく洗い流し、マグネット充電ポートが完全に乾いてから充電やデータ送信を行うよう案内しています。

また、別モデルの磁気充電ケーブルはバッテリーを損傷する可能性があるため、流用しない指定です。

水泳対応に加え、ファイル転送と使用後の手入れを含む使い方が自分に合うかで選びましょう。

防水イヤホンの選び方まとめ

この記事のまとめです。

  • 防水イヤホンは、雨・汗対策か水泳用かを先に決め、メーカーが認める用途から選びます。
  • IPX4は水しぶき、IPX5・IPX6は噴流水、IPX7・IPX8は規定条件での浸漬・水没に対する保護です。
  • IPX8の水深・時間は一律ではありません。IP68も個別の防水条件を読む必要があります。
  • IPX7やIP68だけでは入浴対応を判断できません。Sport X20は浴室など水蒸気の多い場所での使用も避ける指定です。
  • 水泳用のOpenSwim Proは、淡水2m・2時間までの試験条件が示され、水中ではMP3モードを使います。
  • WF-C710NとSport X20の充電ケースは、本体と同じ防滴・防水性能には対応していません。
  • 濡れたあとは機種ごとの手順で水分を除去し、完全に乾燥してから充電します。
  • WF-C710Nは、雨・汗への対応に加え、ノイズキャンセリングや2台への同時接続を求める人の候補です。
  • Sport X20は調整可能なイヤーフックが特徴。陸上のスポーツ向けとして選び、水泳用の代替にはしません。
  • OpenSwim Proはパソコンから音楽ファイルを転送して使用。水泳用の再生時間はMP3モードの最大6時間が目安です。
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この記事を書いた人

音の道具が好きで、買い物には少し慎重。マイクやイヤホン選びを、予算・接続・置き場所から一緒に考えます。家で聴く・録る時間を心地よくするヒントをお届けします。

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